アイヴズ - チャールズ・アイヴズ Charles Edward Ives (1874-1954)
アイヴズの創作と音楽思想
アイヴズ作品の受容
アイヴズは生前、その作品がほとんど無視され、その多くが長年にわたって演奏されずじまいだった。不協和音を実験し、だんだんと多用していくようなアイヴズの傾向が、当時の音楽界の権威に好ましくないと受け取られたのである。主要な管弦楽曲におけるリズムの複雑さは、演奏に当たって困難をともない、そのため、作曲から何十年以上も経ってさえ、アイヴズの管弦楽曲を演奏しようとする意欲が殺がれてきた。アイヴズの意見によると、音楽を評価するうえで忌まわしい言葉の一つが「素敵nice」であり、「大人のように自分の耳を使え!Use your ears like men!"」という有名なアイヴズ語録は、まるでアイヴズが自作の受容などどうでもよかったかのようである。ところが逆に、アイヴズは受けの良さを気にかけていた。
アイヴズの初期の支持者にヘンリー・カウエルやエリオット・カーター、グスタフ・マーラーなどがいる。アイヴズは、複雑な楽譜を出版する音楽雑誌社に融資し、およそ40年の間、ニコラス・スロニムスキーを指揮者とする演奏会を手配・後援した。
1940年代になると彼の無名状態はやや上向きになり、彼の作品を愛し、普及しようとしていたルー・ハリソンに出会う。とりわけ有名なのは、ハリソンが1946年に初演の指揮を執った交響曲第3番(1904年作曲)である。翌年、この作品はピューリッツァー賞に輝いた。しかしながらアイヴズは、「賞は坊やたちにくれてやるものだ。俺はもう大人だ」と言って賞金を分け与え(半分をハリスンに渡し)た。その後まもなくストコフスキーが、交響曲第4番を「アイヴズ問題の核心」と呼んで、これにとり組んだ。また1940年代には、CBS交響楽団の首席指揮者を務めたバーナード・ハーマンがアイヴズ作品の普及にとり組み、この間にアイヴズ作品の擁護者となった。
時が流れ、アイヴズはアメリカの独創的人物の一人と見なされるようになった。アイヴズは、芸術的な高潔さを認めたシェーンベルクや、ニューヨーク楽派の要人ウィリアム・シューマンによっても称賛された。現在では、指揮者のマイケル・ティルソン=トーマスならびに音楽学者のジャン・スワフォードJan Swaffordによって、熱心に支持されている。アイヴズ作品は、ヨーロッパでは定期的にプログラムに組まれている。
同時に、アイヴズは批判を招かずには済まずにきた。その作品を、仰々しくて勿体ぶっていると感じる人は今なお多い。あるいはヨーロッパの伝統音楽の根源的な響きが、それでも現前としているというので、奇しくも、大胆さに欠けると見なす人たちもいる。ちなみに、かつての支持者エリオット・カーターは、アイヴズの作品を不完全であるといったことがあるが、これは芸術上の「父親殺し」の事例にすぎない。
この不完全と言う意味は特にその矛盾に満ちたスコアに対して言われる。演奏不可能のパッセージや2本や4本の管楽器を要求しているのにそれ以上を和音が書いてあったりするのが特徴であるが、作曲者は実際の演奏行為と言うものを考えないで作曲したためにそう言うことが頻繁に起こっている。また第二・第三・第四交響曲に見られる様に作曲者でも前後の関係のはっきりしない複数の版が存在する。作曲者はその間違った音符の楽譜を「すべて正しい」として校正しないで出版した。
一般素人的とも言えるプロの作曲家として経済的に全く成り立たないこう言う非常に大胆な態度はモートン・フェルドマンなどと同じく自分で別の会社を経営して成り立つ作曲行為であるが、アメリカの作曲界の革新性を一気に押し上げる事に驚嘆に貢献している。
アイヴズの初期の支持者にヘンリー・カウエルやエリオット・カーター、グスタフ・マーラーなどがいる。アイヴズは、複雑な楽譜を出版する音楽雑誌社に融資し、およそ40年の間、ニコラス・スロニムスキーを指揮者とする演奏会を手配・後援した。
1940年代になると彼の無名状態はやや上向きになり、彼の作品を愛し、普及しようとしていたルー・ハリソンに出会う。とりわけ有名なのは、ハリソンが1946年に初演の指揮を執った交響曲第3番(1904年作曲)である。翌年、この作品はピューリッツァー賞に輝いた。しかしながらアイヴズは、「賞は坊やたちにくれてやるものだ。俺はもう大人だ」と言って賞金を分け与え(半分をハリスンに渡し)た。その後まもなくストコフスキーが、交響曲第4番を「アイヴズ問題の核心」と呼んで、これにとり組んだ。また1940年代には、CBS交響楽団の首席指揮者を務めたバーナード・ハーマンがアイヴズ作品の普及にとり組み、この間にアイヴズ作品の擁護者となった。
時が流れ、アイヴズはアメリカの独創的人物の一人と見なされるようになった。アイヴズは、芸術的な高潔さを認めたシェーンベルクや、ニューヨーク楽派の要人ウィリアム・シューマンによっても称賛された。現在では、指揮者のマイケル・ティルソン=トーマスならびに音楽学者のジャン・スワフォードJan Swaffordによって、熱心に支持されている。アイヴズ作品は、ヨーロッパでは定期的にプログラムに組まれている。
同時に、アイヴズは批判を招かずには済まずにきた。その作品を、仰々しくて勿体ぶっていると感じる人は今なお多い。あるいはヨーロッパの伝統音楽の根源的な響きが、それでも現前としているというので、奇しくも、大胆さに欠けると見なす人たちもいる。ちなみに、かつての支持者エリオット・カーターは、アイヴズの作品を不完全であるといったことがあるが、これは芸術上の「父親殺し」の事例にすぎない。
この不完全と言う意味は特にその矛盾に満ちたスコアに対して言われる。演奏不可能のパッセージや2本や4本の管楽器を要求しているのにそれ以上を和音が書いてあったりするのが特徴であるが、作曲者は実際の演奏行為と言うものを考えないで作曲したためにそう言うことが頻繁に起こっている。また第二・第三・第四交響曲に見られる様に作曲者でも前後の関係のはっきりしない複数の版が存在する。作曲者はその間違った音符の楽譜を「すべて正しい」として校正しないで出版した。
一般素人的とも言えるプロの作曲家として経済的に全く成り立たないこう言う非常に大胆な態度はモートン・フェルドマンなどと同じく自分で別の会社を経営して成り立つ作曲行為であるが、アメリカの作曲界の革新性を一気に押し上げる事に驚嘆に貢献している。
歌曲
全114曲 (新旧作品のアンソロジー、1887年?1921年作曲、1922年出版。)
中でも、「彼らはかの地フランダースに(新しい自由な世界のための戦い)They are there!」 (1917年)は、作曲者自作自演テープとクロノス・カルテットの二重録音によって有名。
中でも、「彼らはかの地フランダースに(新しい自由な世界のための戦い)They are there!」 (1917年)は、作曲者自作自演テープとクロノス・カルテットの二重録音によって有名。
註記
アイヴズ作品は同一楽曲にしばしば別々の稿があり、作者の存命中に作品の多くがおおむね無視されてきたために、作曲年代を厳密に突き止めることはしばしば難しい。そのため上記の年代は、おおよその見当を示している。アイヴズが自作を、実際の創作年代よりわざと早くミスリードした可能性も指摘されている。
アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 - 第4番(ネージェシ/カーデュー)
IVES, C.: Violin Sonatas Nos. 1-4 (Négyesy, Cardew)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/884463770225
アイヴズ:歌曲集/ピアノ三重奏曲/ヴァイオリン・ソナタ第2番, 第4番(ディクテロウ/ステパンスキー/マルガリット)
IVES, C.: Songs / Piano Trio / Violin Sonatas Nos. 2 and 4 (American Classics: Charles Ives) (Voigt, Zeger, Dicterow, Stepansky, Margalit)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/5099923444959
アイヴズ:弦楽四重奏曲第1番, 第2番/バーバー:弦楽四重奏曲 Op. 11 (エマーソン弦楽四重奏団)
IVES, C.: String Quartets Nos. 1 and 2 / BARBER, S.: String Quartet, Op. 11 (Emerson String Quartet)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/00028943586429
アイヴズ:ピアノ ソナタ第2番「コンコード・ソナタ」/ヴァイオリン・ソナタ第4番「キャンプの集いの子供の日」(クーシスト/アホネン)
IVES, C.: Piano Sonata No. 2, "Concord Sonata" / Violin Sonata No. 4, "Children's Day at the Camp Meeting" (Kuusisto, Ahonen)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/BIS-2249
アイヴズ:アメリカ変奏曲/オルガン前奏曲「アデステ・フィデレス(おお、すべての忠実な崇拝者よ)」/バーリンスキ:バーニング・ブッシュ(ベイカー)
IVES, C.: Variations on America / Adeste Fideles in an Organ Prelude / SOWERBY, L.: Fantasy for Flute Stops / BERLINSKI, H.: The Burning Bush (Baker)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/FY025
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第1番, 第2番「コンコード・ソナタ」(エッカート)
IVES, C.: Piano Sonatas Nos. 1 and 2, "Concord Sonata" (Eckhardt)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/BC9135
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第2番「コンコード・ソナタ」/3ページのソナタ/練習曲第2番, 第9番, 第21番(トライソール)
IVES, C.: Piano Sonata No. 2, "Concord Sonata" / 3-Page Sonata / Studies Nos. 2, 9, 21 (Trythall)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/CRC2285
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第2番「マサチューセッツ州コンコード1840-60年」(佐藤ローデン千恵)
IVES, C.: Piano Sonata No. 2, "Concord, Mass., 1840-60" (Roden)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/ALCD-31
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第2番 /天の鉄道(メイヤー)
IVES: Piano Sonata No. 2 / The Celestial Railroad
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/8.559127
アイヴズ:ピアノ作品集(ヘンク/リチャーズ)
IVES, C.: Piano Music (Henck, Richards)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/WER60112-50
アイヴズ:歌曲全集 1
IVES, C.: Songs (Complete), Vol. 1
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/TROY077
アイヴズ:歌曲全集 2
IVES, C.: Songs (Complete), Vol. 2
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/TROY078
アイヴズ:歌曲全集 3
IVES, C.: Songs (Complete), Vol. 3
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/TROY079
アイヴズ:歌曲全集 4
IVES, C.: Songs (Complete), Vol. 4
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/TROY080
アイヴズ:声楽作品集(チャイルズ/スー・ウェイハン)
IVES, C.: Vocal Music (Childs, Wei-Han Su)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/CRC2796
フォスター/アイヴズ/ミルバーン/ヘイズ/ブロックウェイ:合唱作品集(グレッグ・スミス・シンガーズ)
Choral Concert: Gregg Smith Singers - FOSTER, S. / IVES, C. / MILBURN, R. / HAYS, W.S. / BROCKWAY, W.H. (The Great Sentimental Age)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/CDX-5016
アイヴズ:詩篇全集(シュトゥットガルト声楽アンサンブル/クリード)
IVES, C.: Psalms (Complete) (Stuttgart Vocal Ensemble, Creed)
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/CD93.224
アイヴズ:アメリカ変奏曲/古き家庭の日/オールコット家の人々(アメリカ海兵隊バンド)
IVES: Variations on America / Old Home Days / The Alcotts
このページのURL http://ml.naxos.jp/album/8.570559