ゲーテとの出会い、バッハの復活
1821年に、ツェルターは同時代の友人で書簡をやり取りする間柄だった文豪ゲーテにメンデルスゾーンを紹介した。この少年にいたく感銘を受けたゲーテは、ツェルターとの会話の中でモーツァルトとの比較を行っているが、これは確認できるものとしては最初期のものであろう。それは次のような内容である。
「音楽の神童(中略)は、もはやそれほど珍しいものではないだろう。しかし、この少年が即興でしていること、初見でする演奏は奇跡という次元を超えている。私はあれほど幼くしてこれだけのことが可能だとは思ったことがなかった。」「あなたはモーツァルトが7歳の時フランクフルトで演奏するのを聴いたのでしょう?」とツェルターが問う。ゲーテは「そうだ。」と答えてこう続けた。「(略)しかし君の生徒が既にやっていることを当時のモーツァルトに聴かせるのだとしたら、それは大人の教養ある話を幼児言葉の子どもに聞かせるようなものだよ[27]。」
メンデルスゾーンはその後何度かゲーテに招かれて会っており、ゲーテの詩の多くに曲をつけている。ゲーテに霊感を受けて作曲された作品には他に序曲「静かな海と楽しい航海 Op.27」とカンタータ「最初のワルプルギスの夜 Op.60」がある。
1829年、ツェルターの後ろ盾と俳優エドゥアルト・デヴリエントの協力を得たメンデルスゾーンは、ベルリンにおいてバッハの「マタイ受難曲」を編曲、自らの指揮により蘇演を果たした。この4年前に彼は祖母のベラ・ザロモンから、この当時はほぼ忘れられていた名曲の草稿の写譜を手に入れており[28]、演奏に際しては、管弦楽と合唱をベルリン・ジングアカデミーが務めることになった。1750年にバッハが没してから初となるこの演奏の成功は、ドイツ中、そしてついにはヨーロッパ中に広がるバッハ作品の復活につながる重要な事件であった[29]。この公演は、バッハのマタイ受難曲が難解であることに加えて、聴衆が興味を示さないという問題があったが、慈善公演として成功させたのである。利益は、貧しい少女のための裁縫学校の設立に使われた。当時「世界で最も偉大なキリスト教音楽をユダヤ人が復興させた」と評された。メンデルスゾーン自身もルーテル派であり、バッハの作品を「この世で最も偉大なキリスト教音楽」と見なしていた[11]。この成功により、メンデルスゾーンの名声は20歳にして広く知れ渡った。またこの時に、彼としては珍しく自らの出自に関して言及している。「それを考えると、キリスト教徒の最も偉大な音楽を世界に蘇らせるには、俳優とユダヤ人の息子が必要だったということになりますね![30][31]」
続く数年間、メンデルスゾーンは広く演奏旅行に出かけた。中には最初の訪問となった1829年のイングランドや、ウィーン、フィレンツェ、ミラノ、ローマ、ナポリなどを含む様々な都市が名を連ね、彼は行く先々で現地の、もしくは訪ねてきた音楽家や画家と出会っている。この数年の旅先で得た着想が「フィンガルの洞窟」、「スコットランド交響曲」、「イタリア交響曲」など、彼の作品の中でも最も有名な曲へと結実するのである[32]。
デュッセルドルフでの活動
デュッセルドルフでの活動
メンデルスゾーン:弦楽のための室内楽作品全集(マンデルリング四重奏団)
MENDELSSOHN, Felix: Chamber Music for Strings (Complete), Vol. 2 (Mandelring Quartet) - String Quartets Nos. 3, 4, 6このページのURL
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メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 Op. 20/ピアノと弦楽のための六重奏曲 Op. 110 (アマティ弦楽オーケストラ)
MENDELSSOHN, Felix: String Octet, Op. 20 / Sextet for Piano and Strings, Op. 110 (Amati String Orchestra)このページのURL
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メンデルスゾーン:室内楽作品集(トリオ・ポルティーチ)
MENDELSSOHN, F.: Chamber Music (Trio Portici)このページのURL
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メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第1番, 第2番/協奏的変奏曲 Op. 17 (ナイトン)
MENDELSSOHN, Felix: Cello Sonatas Nos. 1 and 2 / Variations concertantes, Op. 17 (Mendelssohn Cello) (Knighton)このページのURL
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メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第1番, 第2番/協奏的変奏曲(クリーゲル/メルシャー)
MENDELSSOHN: Cello Sonatas Nos. 1 and 2 / Variations ConcertantesこのページのURL
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メンデルスゾーン:チェロ作品全集(ソロウ/スティーヴソン)
MENDELSSOHN, Felix: Cello Music (Complete) (Solow, Stevenson)このページのURL
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メンデルスゾーン:チェロ作品全集(ホフマン/ゼーリヒ)
MENDELSSOHN, Felix: Cello Music (Complete) (Hoffman, Selig)このページのURL
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メンデルスゾーン:チェロとピアノのための作品集(ワトキンス)
MENDELSSOHN, Felix: Cello and Piano Works (P. and H. Watkins)このページのURL
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メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番, 第2番(ウィーン・ピアノ・トリオ)
MENDELSSOHN, Felix: Piano Trios Nos. 1 and 2 (Vienna Piano Trio)このページのURL
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メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番, 第2番(ミュンヘン・ピアノ三重奏団)
MENDELSSOHN, Felix: Piano Trios Nos. 1 and 2 (Munich Piano Trio)このページのURL
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メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲全集(アトランティス・トリオ)
MENDELSSOHN, Felix: Piano Trio No. 2 / MENDELSSOHN, Fanny: Piano Trio in D Minor (Atlantis Trio)このページのURL
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メンデルスゾーン:ピアノ四重奏曲第1番/ピアノ三重奏曲第2番(バルトルディ・ピアノ四重奏団/オデオン三重奏団)
MENDELSSOHN, Felix: Piano Quartet No. 1 / Piano Trio No. 2 (Bartholdy Piano Quartet, Odeon Trio)このページのURL
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メンデルスゾーン:ピアノと弦楽のための六重奏曲/弦楽八重奏曲(新イタリア合奏団)
MENDELSSOHN, Felix: Sextet for Piano and Strings / String Octet (I Solisti Filarmonici Italiani)このページのURL
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メンデルスゾーン:ピアノとチェロのための作品全集(ブルイアーナ/ヴィジ)
MENDELSSOHN, Felix: Piano and Cello Music (Complete) (Buruiana, Vizi)このページのURL
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メンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」(抜粋)/序曲「フィンガルの洞窟」/無言歌集(コヴァーチェ/I. フィッシャー/ペレーニ/コチシュ/デュボルク)
MENDELSSOHN, F.: Midsummer Night's Dream (A) (excerpts) / Hebrides / Songs Without Words (Kovacs, I. Fischer, Perenyi, Kocsis, Dubourg)このページのURL
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メンデルスゾーン:無言歌集(オーボエとピアノ編)(ワルター/デゼール)
MENDELSSOHN, Felix: Lieder ohne Worte (arr. for oboe and piano) (Romances sans paroles) (D. Walter, Desert)このページのURL
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メンデルスゾーン:六重奏曲 Op. 110/ピアノ四重奏曲第1番(バルトルディ・ピアノ四重奏団)
MENDELSSOHN: Piano Sextet, Op. 110 / Piano Quartet No. 1このページのURL
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メンデルスゾーン:チェロとピアノのための作品全集(ドリン/ブラハ)
MENDELSSOHN: Works for Cello and Piano (Complete)