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メシアン - オリヴィエ・メシアン (Olivier Messiaen) Ⅱ

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メシアン - オリヴィエ・メシアン (Olivier Messiaen)
教育活動

1942年には母校の和声科教授となるためにパリへ戻る。当初の彼の学生の中には、後に彼の作品演奏の最も良き理解者であり、妻となるイヴォンヌ・ロリオがいた。1959年に前妻に先立たれたメシアンは、1961年にイヴォンヌと再婚する。メシアンはまず音楽美学の教授に指名され、後に楽曲分析科、1966年以降は作曲科の教授となった。メシアンが退官するまでの間に受け持った学生には、ピエール・ブーレーズ、カールハインツ・シュトックハウゼン、ヤニス・クセナキス、トリスタン・ミュライユ、ジェラール・グリゼー、フセイン・セルメット、ナジ・ハキムなど、日本人では別宮貞雄、矢代秋雄、丹波明、端山貢明、平義久、宍戸睦郎、篠原眞、吉田進、加古隆、福士則夫、仲俣申喜男、二橋潤一、藤井一興、小鍛冶邦隆、安田正昭などがいた。

メシアンの後に現代音楽を牽引する世代となるそれぞれの時代の作曲家たちに印象的な進言をしていることも興味深い。最初期の弟子だったブーレーズとの地下鉄内での会話では「この先、誰が現代音楽を牽引して行ったら良いのか」と悩むブーレーズに対し、メシアンは「何を言っているんだ、ブーレーズ君。それは君だよ」と諭した。またブーレーズが父から作曲家になることを反対され数学者になれと言われた時は、メシアンは音楽院の帰りにメトロに乗ってブーレーズの家までついて行き、ブーレーズの父を説得したという。[1]そのブーレーズはメシアンの『音価と強度のモード』を基に『構造I, II』を作曲し、同じくシュトックハウゼンもまた『音価と強度のモード』の楽譜を何度も読み返したという。数学と建築を学んでから作曲に転向したクセナキスには「君は数学を知っている。なぜそれを作曲に応用しないのか」という名言を残し[2]、初期の習作では出身国ギリシャの民族音楽的だった彼の作風を全く違うものへと転換させ、数学的なグラフに基づく出世作『メタスタシス』を作曲させるに至った。グリゼーには音楽と色彩について多くの知見を残し、後に彼が切り開いたスペクトル楽派への予見を与えている。早世したグリゼーの遺稿集にはインタビュアーの「影響を受けた作曲家は誰ですか?」という質問に対し「私はいつもこう答えています。父なる神、子なるキリスト、聖霊と。(三位一体を参照)父なる神はオリヴィエ・メシアンで、音楽と色彩への知見と愛を教わりました。」と答えている。(後略。子はシュトックハウゼン、聖霊はリゲティを挙げている)[3]

作風

メシアンは幼少時から音と色の共感覚を持っていると述べており、しかもそれが音階の一音一音ごとに異なる色に対応し、それらを複雑に組み合わせることによってステンドグラスのような色のモザイクの感覚を得られると主張している。また「鳥の歌」にも早くから興味を示し、そのリズムや平均律化されていない音程に興味を持っていた。[4]

同じく少年の頃からドビュッシーに傾倒し、クリスマスプレゼントにもらった『ペレアスとメリザンド』の楽譜をぼろぼろになるまで読みふけったという。(後にメシアンはパリ音楽院で担当した分析の授業で度々この曲を取り上げた。アルフォンス・ルデュック社より刊行された全7巻のメシアン遺稿集にもその分析が収められている。)

最初期の20歳の頃(1928年?1929年)に書かれたピアノのための『前奏曲集』(全8曲)は、ドビュッシーやその時代の印象主義音楽の影響を濃厚に受けているが、後にメシアン自身が提唱した「移調の限られた旋法 (Mode de transpositions limitees, MTL)」を既に巧みに用いている。オルガンのための組曲『主の降誕』で「移調の限られた旋法」をはじめ「付点リズム」「不可逆リズム」「ギリシャ、インドのリズム」「鳥の歌」などの語法をはじめて意識的に組織化して用い、以後自身の語法として発展させた。この頃までの1930年代の作品は、和声やリズムを工夫することによって、土台となる基本的な調性ははっきりし共和音を多用しながらも、独特の個性的な響きを確立させている。

電子楽器のオンド・マルトノにも早くから興味を示し、死後出版された最初期作品の『未完のページ』というオンド・マルトノとピアノ伴奏の小品をはじめ、オンド・マルトノ6台のために書かれた組曲『美しき水の祭典』(後に一部を『世の終わりのための四重奏曲』の第5楽章、第8楽章に転用)、後には合唱と管弦楽のための『神の現存のための3つの小典礼楽』、『トゥランガリーラ交響曲』、オペラ『アッシジの聖フランチェスコ』(3台使用)にも用いている。

また前述のリズムを含む「時間」の感覚についても独特の個性を持っており、例えばある側面では「天国的に長い時間」と呼ぶ、従来の音楽よりもずっと遅いテンポを持つ楽章や部分が多い。最初期のオルガン曲『天上の宴』、パリ音楽院の卒業試験のために書かれた最初の管弦楽曲『忘れられた捧げもの』のコーダ部分、同じく管弦楽曲で後にオルガン曲にも編曲された『キリストの昇天』第4楽章などがそれである。これらはオルガンや弦の持続音によって成り立っており、前述の『美しき水の祭典』もオンド・マルトノの持続音によってやはりこの長大な緩徐楽章が用いられている。後にそれが転用された『世の終わりのための四重奏曲』第8楽章では、捕虜収容所という極限に限定された環境の中でたまたまあったヴァイオリンとピアノのために改作しているゆえに、ピアノという減衰音楽器を用いて和音を連打しているが、元々は持続音であり、前述の作風と合致する。この緩徐楽章の作風は、晩年の最後に完成された管弦楽曲『彼方の閃光』の最終楽章にも登場する。

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メシアン:栄光に輝く体/聖餐式 /永遠の教会の出現(バイラム=ウィグフィールド)

MESSIAEN, O.: Corps glorieux (Les) / Le Banquet Celeste / Apparition de l'eglise eternelle (Byram-Wigfield)

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メシアン:オルガン作品集2(キリストの昇天/献堂式のための唱句/聖霊降臨祭のミサ)(ブーストレム)

MESSIAEN: Complete Organ Works, Vol. 2

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メシアン:オルガン作品集3(二枚折絵/栄光に輝く体)(ブーストレム)

MESSIAEN: Complete Organ Works, Vol. 3

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メシアン:オルガン作品集 4 (バイラム=ウィグフィールド)

MESSIAEN, O.: Organ Music (Complete), Vol. 4 (Byram-Wigfield)

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メシアン:オルガン作品全集 1 - キリストの昇天/聖餐式/永遠の教会の出現/二枚折絵(エリクソン)

MESSIAEN: Complete Organ Music, Vol. 1

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メシアン:オルガン作品全集 5 - 聖なる三位一体の神秘への瞑想(エリクソン)

MESSIAEN: Complete Organ Music, Vol. 5

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メシアン:オルガン作品全集 6 - 聖体秘蹟の書(エリクソン)

MESSIAEN: Complete Organ Music, Vol. 6

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メシアン:カンテヨージャ/前奏曲/鳥の小スケッチ/ニワムシクイ(ルイーズ・バセット)

MESSIAEN, O.: Canteyodjaya / Prelude / Petites esquisses d'oiseaux / La fauvette des jardins (Les oiseaux) (L. Bessette)

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メシアン:キリストの昇天/聖霊降臨祭のミサ(アンドリューズ)

MESSIAEN, O.: Ascension (L') / Messe de la Pentecote (Andrews)

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メシアン:主の降誕/聖餐式(ジーバー)

MESSIAEN, O.: Nativite du Seigneur (La) / Le Banquet Celeste (Sieber)

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メシアン:初期オルガン作品集 - キリストの昇天/二枚折絵/前奏曲/永遠の教会の出現/聖餐式(ウルスルード )

MESSIAEN, O.: Organ Works (Early) (Ulsrud) - L'Ascension / Diptyque / Prelude / Apparition de l'Eglise eternelle / Le Banquet Celeste

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メシアン:聖体秘蹟の書(ジェイコブス)

MESSIAEN, O.: Livre du Saint Sacrement (P. Jacobs)

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メシアン:聖なる三位一体の神秘への瞑想(バイルシュミット)

MESSIAEN, O.: Meditations sur le mystere de la Sainte Trinite (Beilschmidt)

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メシアン:前奏曲集/4つのリズムの練習曲/カンテヨジャーヤ(アウストボ)

MESSIAEN: Preludes / 4 Rhythmic Studies / Canteyodjaya

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メシアン:前奏曲集/忘れられた捧げ物/ロンドー/ポール・デュカスの墓前への小品/滑稽な幻想曲(橋本京子)

MESSIAEN, O.: Preludes / Les offrandes oubliees / Rondeau / Piece pour le tombeau de Paul Dukas / Fantaisie burlesque (Kyoto Hashimoto)

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メシアン:鳥のカタログ/鳥の小スケッチ(アウストボ)

MESSIAEN: Catalogue d'oiseaux / Petites esquisses d'oiseaux

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メシアン:二枚折絵/栄光に輝く体(ギロック)

MESSIAEN, O.: Diptyque / Les Corps glorieux (Gillock)



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