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続 原発震災日誌39

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続 原発震災日誌39

泉かおり追悼

今までの考えや見方がひっくり返ってしまったと、癌闘病の身で、女達の一票一揆、泊原発停止運動をやっていた彼女、話し方はきつかった、絶望感が漂っていた、が使命感のように闘っていた、私の絶望と世界の絶望とを生きた女性であった、多くひっくり返った人とは、今まで大事だと思っていたもの、よい事と思っていたものが、価値を失い、意味を失い、興味を失い、人生を楽しめなくなったのだろう、私において、3.11以前からそれらはあったのだが、文学で、友人で、自分の趣味的なもので、旅行で、人付き合いで、人依存で、人間としての連帯で、孤独で、私対世界で、全てが変化してきてはいる、これが虚無なのか、不信なのか、絶望の現象なのか、これら変化した全てを捨てられるという、3.11以前、一遍の捨てる心は困難であったことが、いとも容易く絶望の前では、私の癌とは違う、世界の絶望とは、こうした理想や所
有や価値や真理やらの価値を転換し、無化するものであった、存在への嘔吐のような、価値をすべて私において問い直した上での世界への変更となった3.11というもの、これは全人類に起きていくこととなる、

中川保雄(1943-1991)48歳

放射線被曝の歴史

核兵器開発の為の防護から~マンハッタン計画
癌患者が多発していた~人体実験をした
最初は400mSv、一日当たり20mSv、年250mSv、リスクベネフィット論、リスク対利益
小児癌の実態~子供の苦しみを知らせること
全癌と放射線の関係の見直し~免疫低下が全ての原因
世界の全被爆者数の割り出し
全生物の遺伝子的影響の調査
核汚染地帯の疾患の広がり~風下地域
原発労働者の組合組織
原発そのものの欠陥性~蒸気発生細管問題
プルトニウム1gで100万人の癌と再処理の問題
地球上にどれだけの放射能が放出されたか
経済性とリスクの二律背反の問題性
日本科学者会議の容認姿勢と共産党の問題

価値観の変更とは

たとえば金閣寺のような、またはガンターラ遺跡のようなものを、燃やし破壊する行為への悲しみといったものが、何でもなくなったということ、文化、伝統というものへの、美意識、価値意識が無化されたという、何かを特別なものとしなくなったということ、何故なら、3.11とはそうした人間文化、人間そのものを、私を含めて自然は、地球は何ら必要としていないということ、私自身もそうした文化を今や必要としなくなったということ、全て無にするものを知って、無の上にある自分を知って何ら必要性ではなく、大事なものは存在だけであり、今という時の感覚だけという、私の生身性なだけが再生されるのだった、この私の実存の感覚は、病んで得た私対世界を私の魂の世界として形作り喜びとなっている、希望や未来とつながってのものではない今という末期の私対世界という、地球はその死にゆく人の空間、あのYの、あのMの末期のような、この末期の世界を表現してみたいとは思う、そのためにこうして書き続けているのだが、あのムンクの「死と乙女」の絵、死んでいく乙女の姿を通したムンクの魂の世界、消え入るような色と形の中に表現している、言葉でどのように表現できるのか、無数に在る過去、無数に描かれてきたあらゆる芸術手段で、それら個人の、民族、国家の死を、しかし、全て死滅の、観念ではない、そこを表したいと思うとき、全ての死を表せた時、世界は意味に替わると思えるのだった、文学はこの全ての死をとらえなければならない、これが今の課題である、使命であるのだった、科学はそれを芸術ではなく、証明できる、示せる方法であるのだったが、時間という疫学が困難にさせる、しかし、文学はそれらの兆しを、先取りした未来を示せる、癌サバイバーの地球への思い、SF、映画で様々描かれ、遠くない未来の地球の運命を誰もが知る時代にあって、人間が遣っていることなのだから、辞めさせることは出来るとの、しかし、放射性物質の不可逆性とは、時間の不可逆性のようもので、タイムマシンの空想に似、絶望と無しかそこにはないのだつた、

方丈私記~堀田善衛

為政者およびその一族の為政観とは、国体の護持という、富国という、為政などではなく、蛸壷的な家族的な世界観、天皇とその臣民という、又皇族と平民という、国ではなく、貴族という体制護持が意味する程度のもの、近衛の上奏文、天皇の焼け跡の視察への、臣民としての感情、この日本的封建、無常観の政治、桎梏の国民性、隷属性、私はこれら日本と言うものを、一つの利益共同体と見、この国は彼らの物だと、私のものではないのだと、どのようにしようと好きにしたらよいと、最早世界も同じこと、支配し、支配される者も、同じ利益共同体の彼等らの物なのだと、死すべきものとしての人間、やがて絶滅していく人間なのだからと、諦観することによって、やっと世界を受容出来るのだった、

価値観の転倒とは

3.11とは、世界が砂上の楼閣であったことを事実でもって思い知らされたということ、癌が私の生命が儚い運でもてあそばれていたと思い知ったように、自分の体のことは仕方がない、たとえそれが放射能etcの様々な要因があったとしても、しかし、世界は私の体、生命としての寿命とは違う、人が構成する人為なもの、それが政治であった、その政治を勝手に遣っていればと、人任せ放置していた、それが3.11で思い知らせたのだった、放置の結果であること、そこに一人一人では在るが、私にもその一人であると、私はこの間、自らの癌、死についての考察でよしとしていたのだが、世界がそうした私一人で成立させんとしてきたものが、足をすくってきたのだった、3.11に至る政治の過去、3.11への向かい方、これらが無知、無能、崩壊の姿を見て、全ての価値、仕組みの、私の目で再構築を迫られ、その結果がアポロの疑惑、9.11の陰謀、世界の様々な謀略、背景の懐疑であった、どちらでもよいとしてきた問題が、大いなる問題へと、人の価値観の見直しが起きる、人の生き方の変更が起きる、癌からの生還がそうであったように、絶望と無を体験した者には、価値観の転倒が、何が本質なのかが、しかし、私の癌体験が人に伝わらなかったように、今3.11が人に世界に伝わらない、続いている日常には、大したことではなかったと、100ベクレルとは、1秒間に100本のアルファー線が、
年20mSvとは2.2μSvh、一年間に胸のレントゲン40回やること、そんなところに住み続けることが放置されている、プルトニウムは二万電子ボルト、一粒でも遺伝子を粉々にする、それを毎日10粒吸い込んでいる、これらは事実である、直ちにではないが数年後には確実に被害が現れてくるもの、ではどうするか、私は無の上に、絶望の上に強かな時の所有の中に、私という生命を生きると、

辺見一人が闘っているような日本の文学の状況、誰も絶望から出発してはいない、昨日の続きとしての今日、失望し、希望、再生をと、破局、絶望を見据えているか否かが露呈する、希望はないのだ、再生は無いのだということが、まして理想や、悟りなどというものは、あるのはこの砂上の楼閣の壊れゆく社会だけ、死すものとしての生命のような、壊れ物としての社会があるだけ、いかに破滅までの社会を生き切るか、生命として誕生した、その一人をいかに生き切るかだけが、砂上であることが据えられねばならない、言葉を残すことも、記録を残すことも、歌も、絵も、発明も、何も人に必要は無いのだった、癌になった日、私を生き切ることだけであったように、完治した日、何もしないでよくなった、今や社会は、人は何もしないでよくなったのだ、間違えばあの日、3.11に世界の破局が、直ちに発生していた、が、今は転移はあるものの、余命いくばくかという状態、死ぬまでにやっておきたい10のことをやり、考えておくことだけ、ポンペイ最後の日を、今や人類は知る時代に在るのだった、知っていて灰燼に帰す時代に、見た、愛した、書いたと墓石に記すだけの時代へと、



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