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マクダウェル - エドワード・マクダウェル (Edward Alexander MacDowell)Ⅱ

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マクダウェル - エドワード・マクダウェル (Edward Alexander MacDowell)

作風

マクダウェルは多感な時期からヨーロッパ生活が長く、そのため自らを精神的にはヨーロッパ文化、とりわけドイツやスカンジナビアの精神文化に帰化しているとさえ見なしていた。ヨアヒム・ラフやリストらヨーロッパ屈指の才能との親交が、その自己評価に拍車をかけた。同時代のアメリカ合衆国については文化水準の低い国と看做しており、自分はアメリカ楽壇を指導するために帰国したのだと考えていた。その考えから、アメリカ音楽の発展のために、同郷人で自分と似たような経歴を持つアメリカ人作曲家ジョージ・テンプルトン・ストロング・ジュニアに帰国を要請し、一時的にそれを実現させている。

ヨーロッパ時代に作曲された作品は、このため、メンデルスゾーンやシューマン、ショパンなどの影響が色濃く表れ出ている。自らが演奏するために作曲したピアノ協奏曲は、自分と同名のグリーグへの傾倒のもとに作曲されており、とりわけ第1番は、調性や曲想などにグリーグ作品との類似が指摘できる。グリーグからの影響は、帰国後の作品である4つの副題つきピアノ・ソナタにも当てはまる。リストの影響は、初期のいくつかの交響詩や、帰国後の2つの管弦楽組曲に認められ、恩師ラフ譲りの卓抜なオーケストレーションが印象深い。

マクダウェルは交響曲や室内楽の本格的な創作には興味を示さず、ブラームスやドヴォルザーク、第2次ニューイングランド楽派の作曲家については、その才能は認めるが作品は評価しないという態度で臨んだ。しかしながら、例外的にチャドウィックの諸作品を高く評価し、特に、スコットランド系・アイルランド系移民のもたらした民謡にインスピレーションを得る姿勢を、チャドウィックに倣っている。帰国後のマクダウェル作品、とりわけ1890年代から1900年代に作曲されたピアノ曲や歌曲に、民族音楽を思わせる音組織やリズムが目立っているのは、そのためである。マクダウェル作品の中でもっとも有名な《野ばらに寄す》は、このような作例のひとつに過ぎない。

一方で、成熟期のチャドウィックやゴットシャルクが黒人やカリブ海の民族音楽に開眼していったのに対して、晩年のマクダウェルは、アメリンディアン(アメリカ先住民)の民謡を和声付けするという手法で作曲にも取り組んだ。《管弦楽組曲 第2番》がその最も有名な例である。

歌曲の作曲はドイツ時代から取り組んでおり、そのためドイツ語の詩に数多く曲付けした。中でもお気に入りの詩人はゲーテとハイネであった。一方、メンデルスゾーン合唱団のために作曲された無伴奏合唱曲は、英語詩を用いて作曲されている。

日本では、マクダウェルの名とその作品は早くから流入しており、いくつかの歌曲は、ミュージカル作曲家シグマンド・ロンバーグのヒット曲と並んで、大正時代に楽譜が出版されている。近年では、炊飯器のTVCM曲に《野ばらに寄す》が使われた。


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シェナンドア - アン・アメリカン・チョリスター 1890-1990
SHENANDOAH - An American Chorister, 1890-1990
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セラーズ・エンジニアリング・バンド - ワールズ・モースト・ビューティフル・メロディーズ 5 (コルネットのための音楽)
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マクダウェル:ハムレットとオフィーリア/ランスロットとエレーヌ
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